ホシカワ ケイジ   hoshikawa keiji
  星川 啓慈
   所属   文学部 人文学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2012/08
形態種別 大学・研究所等紀要
標題 「脳科学と宗教哲学を架橋する試み――エクルズとポパーの『自我と脳』再考」
執筆形態 単著
掲載誌名 『脳科学は宗教を解明できるか?』春秋社
概要 第1節で、西田幾多郎の「純粋経験」に言及しながら、宗教体験の世界と脳科学が記述する脳内過程との間にみられる対立/断絶を紹介することから始める。第2節では、ポパーとエクルズの心脳相互作用論をとりあげるが、ポパーの三世界論(世界Ⅰ・世界Ⅱ・世界Ⅲ)と、エクルズの心と脳をつなぐ「連絡脳」という概念を中心に、紹介する。第3節では、第1節の議論をふまえて、一人称で記述される宗教体験の世界と、三人称で記述される脳内過程の記述との間の断絶について考察する。この断絶がある限り、宗教体験は脳科学からの侵食をうけない。しかしながら、これがある限り、両者の建設的な関係は生れてこない。第4節では、ポパーの三世界論と人称をめぐる問題とを結びつけ、推測しうる三つの分類を整理する。第5節では、先行するすべての議論を念頭におきながら、宗教者による宗教体験ないしその記述と、脳科学者による脳内過程の記述とを架橋するものとしての「言語」の重要性を考察する。すなわち、ポパーの世界Ⅲにある言語が、世界Ⅰにある脳と世界Ⅱにある心とを結びつけるとすれば、このことから、一人称的に記述される宗教体験の世界と三人称的に記述される脳内過程との間の断絶を架橋する可能性が生まれるということである。第6節では、ポパーによりながら、唯物論/物理主義/脳一元論/行動主義に対する否定的見解を述べる。そして最後に、今後の展望をおこなう。