オオビ ユウコ   OBI Yuko
  大尾 侑子
   所属   東京経済大学  コミュニケーション学部
   職種   准教授
研究期間 2015~2017/03
研究課題 A15-3 日本近世から近代における〈国家〉意識の文化的諸問題とアジア(2015-2016年度)
実施形態 競争的資金等の外部資金による研究
研究委託元等の名称 学習院大学東洋文化研究所 一般研究プロジェクト
研究者・共同研究者 遠藤薫
概要 (1)研究の目的・意義 グローバリゼーションの時代、日本ではとくに東日本大震災という未曾有の災禍を経て、いま改めて、「社会的なるもの」あるいは「国家」の意味と意義が問われている。 日本においては、「近代国家」の概念は、19世紀半ばから世界的に高まったグローバリズムの激しい潮流の中で、欧米で発展した「国家」モデルを範として、構成されたといえる。とはいうものの、それが日本社会に移植されるプロセスには、それ以前から近世日本で構想されてきた「国家」概念(意識)、あるいは、庶民レベルで潜在的もしくは顕在的にイメージされてきた「くに」感覚などの混入があることは当然である。 また、明治以降、欧米的「近代国家」形式の導入後も、それは、導入されたモデルをそのまま適用したわけではなく、当時の社会ヘの適応、また適用後の変容(ナショナライゼーションやローカライゼーション)をともなうものであったこともいうまでもない。 こうした雑種化(ハイブリダイゼーション)は、「近代国家」のグローバル化が、個別国家や個別地域の固有性(ナショナル・アイデンティティ、ローカル・アイデンティティ)の追求、あるいは、「国家」の再構成(ナショナリズム)、「地域」の再編成(ローカリズム)と並行して行われるものであるというパラドックスと、表裏の現象でもあった。 本研究では、このような日本社会の動向を、中国、韓国など近隣アジア諸国の動きと比較しつつ、また当時の来日欧米人の見方を検討しつつ、そのダイナミズムを分析、解明しようとするものである。 本研究は、21世紀グローバリゼーションの中で改めて「国家」を再検討するという現代喫緊の課題を、19世紀グローバリゼーションのプロセスから逆照射し、その本質を捉えることを目的とする。
PermalinkURL https://www.gakushuin.ac.jp/univ/rioc/project/project_1503.html