アカソ ナオユキ   AKASO NAOYUKI
  赤楚 治之
   所属   外国語学部
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2013/10
形態種別 研究論文(学術雑誌)
標題 非対格主語の「が」格省略:影山(1993)vs. 高見・久野(2006)
執筆形態 単著
掲載誌名 名古屋学院大学論集 言語・文化篇
掲載区分国内
巻・号・頁 第25巻(第1号),1-12頁
概要 日本語の非対格主語はD構造でもS構造でもVP内に留まったままであると主張した影山(1993)の重要な論拠のひとつである「が」格の省略がある。一方、機能主義的アプローチから、高見・久野らは、反例を示し、統語論的には説明できないことを主張している。本稿では、後者の提出した反例が言語直感に合致していることを認めた上で、議論の対象になっている構文に注目した。トピックの「は」の省略との混同を避けるために、影山は従属節の中で非対格自動詞が用いられるデータを採用して議論を組み立てたが、その場合、「の」や「こと」といったものを修飾するデータを扱っている。しかし、これらの主要名詞は名詞らしさが低く、その分、談話的な影響を受ける可能生が高く、それが機能主義者たちのような反例を招く結果になっているものと考えられる。それを承けて、普通名詞が主要名詞になるような文を用いて調査をしたところ、非対格動詞と非能格動詞の間に容認性の差が見られた。このことから、「が」格の省略には、談話的・プラグマティックな要因ではなく、統語的理由が関与していることを示していることがわかる。