フジワラ タカフミ   Takafumi.FUJIWARA
藤原 隆史

  • 所属   松本大学  教育学部 学校教育学科
  • 職種   准教授
発表年月日 2023/06/24
発表テーマ 英語の前置詞inは本当に「容器」か? ―イメージスキーマを用いた教授法の教育への影響について―
会議名 第52回中部地区英語教育学会岐阜大会
学会区分 地方学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
開催地名 オンライン
開催期間 2023/06/24~2023/06/25
概要 英語の前置詞inには様々な意味用法があると言われており、英語学習者にとって決して簡単な語彙項目ではない。認知意味論の説明によれば、前置詞inは「容器」のイメージスキーマによって意味記述が行われ、中心義である「容器」(日本語では「~の中」という訳語に対応することが多い)の意味が様々な用法へと比喩的に拡張しているとされている。すなわち、空間用法・時間用法・抽象用法における前置詞inは、それぞれ、中心義である「容器」のイメージスキーマがメタファー的に拡張したものであり、英語学習者に対して「容器」のイメージスキーマを示すことで学習効率が向上し、教育効果が高まるとする研究が少なくない。
 一方で、一部の意味用法においては、「容器」のイメージスキーマでは説明に苦慮するものがある。例えば、a hole in the sweaterという用例では、the sweaterを「容器」と捉え、a holeがその「中」にあるという説明は日本語母語話者である我々の直観に反していると言わざるを得ないだろう。さらに、この直観は英語母語話者の直観においても同様であると言えるだろうか。すなわち、英語母語話者の直観と日本語母語話者の直観において、前置詞inが持つ意味の捉え方に何らかの差異があるのか、それとも、そのような差異はないのかということが、日本語母語話者に対する英語教育において問題となり得るということである。本研究は、両者における直観的差異を心理実験によって確かめ、「容器」のイメージスキーマによる前置詞inの説明が本当に教育的効果を持っているのか、特に「周辺的用法」とされる一部の用法における言語使用者の直観的意味の捉え方の差異についての考察と、そこから得られる教育的示唆について報告する。主な主張として、英語母語話者と日本語母語話者による意味の概念化が一部異なっており、その差異を意識した教授法が教育効果を高める可能性があることを示す。

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