ツジ ノリコ   Noriko Tsuji
  辻 典子
   所属   十文字学園女子大学  人間生活学部 食品開発学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2017/01
形態種別 その他
標題 乳酸菌と免疫恒常性
執筆形態 共著
掲載誌名 炎症と免疫  (2017)
掲載区分国内
巻・号・頁 25(1),34-41頁
担当区分 筆頭著者
著者・共著者 *辻 典子、平山和宏、安達貴弘
概要 動物は一本の管として生きている。その内なる外界である腸管を拡げるとテニスコートよりも広く,全身の過半数のリンパ球は腸管に存在して病原菌の侵入や無用な炎症を防いで身体を護っている。「管」として生きる生物にとって,消化管において栄養を吸収し,外界のシグナルを「積極的に認知する」しくみは,「神経―免疫―内分泌ネットワーク」として生体恒常性の根幹をなしている。経口免疫寛容の成立や病原菌の排除など,免疫機能の成熟はおもに「小腸」からの作用が大きいと考えられる。大腸にはより多くの腸内微生物が共生しており,微生物代謝産物を活用して健康を維持増強する仕組みが備わっている。
 本稿で焦点をあてる乳酸菌は小腸の主要な常在微生物であり,腸内細菌として腸管免疫を刺激するとともに他の微生物と拮抗することで腸内環境の恒常性維持に貢献している。また乳酸菌は発酵食品などの長い食経験から安全性も保証されており,プロバイオティクス食品中の菌体も,腸管免疫の活性化や腸内細菌叢の安定化を介して全身の健康増進に関与
すると考えられる。