マツムラ タカヒロ   Matsumura Takahiro
  松村 隆弘
   所属   医療保健学部 医療技術学科
   職種   助教
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2023/03/25
形態種別 総説
招待論文 招待あり
標題 寄生虫検査のために遺伝子検査はどこまで必要なのか?
執筆形態 単著
掲載誌名 日本臨床検査医学会誌
掲載区分国内
出版社・発行元 日本臨床検査医学会
巻・号・頁 71(3),151-154頁
総ページ数 4
担当区分 筆頭著者
概要 寄生虫の遺伝子検査は寄生虫感染症を疑う症例が少ないため臨床では積極的に実施されることは少ない。遺伝子検査が実施しやすい寄生虫は外部委託が可能なEntamoeba histolyticaやTrichomonas vaginalisに限られる。しかし、遺伝子検査が必要な場合として、寄生虫感染症を強く疑う時、形態学的に同定できない時などが挙げられる。本稿では、我々に依頼があった寄生虫検査の症例から寄生虫の遺伝子検査をどのように実施しているか一部提示する。4年間で我々に依頼があった寄生虫検査依頼は15件で、その内、遺伝子検査は9件であった。内訳はHelminthsの同定が6件、Giardia intestinalisの遺伝子型同定が1件、アメーバ性肝膿瘍疑いの検査が1件、尿中の不明生物の同定が1件であった。検査依頼から分析すると、clinical laboratory technicianは寄生虫を形態学的に検出できているが、種同定に遺伝子検査を要望される背景があると考えられる。一方で、スクリーニング検査としての遺伝子検査依頼はほとんどなかった。その背景には、気軽に遺伝子検査が可能なシステムがないことが一因であると考えている。しかし、国内で遺伝子検査をしなければならないエビデンスが少ないため、積極的な検査を推奨することができない。今後、遺伝子検査を普及させるためにはエビデンス作りが必要となる。最後に寄生虫が検出された場合は種同定を行い、学会や論文で報告し、国内の感染状況を知らせてほしい。