コウチ ヨシクニ   Yoshikuni Kochi
  河智 義邦
   所属   教育学部
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2000/03
形態種別 研究論文 
標題 善導浄土教における懺悔滅罪論
執筆形態 単著
掲載誌名 宗学院論集
掲載区分国内
巻・号・頁 (第72号),45-64頁
概要 懺悔とは、最初期の仏教教団においては、集団生活維持のための規律を破ったものが相互に自己の犯した罪を告白し許しを請うために定期的に催された行事をいう。これが大乗仏教になるとその成立原理となる空思想と関連して、「空の知見」を真実の懺悔とすることが諸経論に強調される。善導教学の行儀実践方に影響を与えた天台智顗は『摩訶止観』に懺悔を事懺(具体的に規律を破った罪などを反省すること)と理懺(一切の罪は心より生起したものであるが、罪相も本来空であることを観察すること)に分類する。また懺悔滅罪と慣用化されるように懺悔にはその目的として罪業の消滅、即ち滅罪が語られるのである。善導は教義論書である『観経疏』には定善の機(優れた能力の者)には観仏の前段階として懺悔滅罪を要求しておりおり、散善の機(低下の凡夫)には懺悔は説かないが、称名による滅罪は説いている。また行儀論書(儀礼について明かした書)においても、観仏などの前方便として懺悔滅罪が説かれているが、いずれも事懺悔である。しかし、善導における事懺悔の実践の目的は阿弥陀仏の本願力に乗ずることと示されていて、ここに浄土教的懺悔の特色があることを論考した。